久々のブログとなります。
何せ怒涛の2カ月間でした。 数字に頭悩ます福岡市議会の決算議会が終わってからは即総選挙モード。
思考の基本単位を「円」から「票」に切り替えて、選挙準備から本番中まで自分なりに頑張ったつもりですが、立憲民主党はご存じの通りの結果となり、私がいる福岡3区の山内康一さんも議席を失うこととなりました。 勝負事とは全部そうかもしれませんが、勝てば心地よい疲労感ですが負けると芯から泥のように疲れます。加齢による体力的な疲労と落選という結果で終わった虚脱感のダブルパンチで回復にそこそこの時間がかかりましたが、総選挙後からは地域活動、議会活動ともに頑張っています。
さて、大きい選挙の後は大体出てくる話ですが、今回の衆院選でもやはり出てきました、「裏金問題」。新潟の県議が候補者に裏金を要求したのしないの、という話です。あれが裏金だったか違法性のある金だったか、必要経費だったかは私に知る由もありませんが、広島の話然りで選挙というのはどうしても暗いお金の話が付きまといます。
率直に言えば、政治というのはやはり金がかかります。 もっとも、地元有力者に「現ナマ」を配るなんていうのはもっての他であって、そういうことを意味するわけではなく、いたって普通に合法的に選挙を戦ったとしてもお金はかかります。特に国政選挙はお金がかかります。昔は「蔵が一つ潰れる」などと揶揄されたりもしました。
膨大な事務作業を分担して行うための臨時職員も含めた秘書やスタッフの人件費。 秘書の作業スペースや大人数のボランティアや支援者が十分に作業できるだけの広さを供えた事務所。その事務所の機能を維持するために必要な車両やOA機器。 選挙区の何十万人を相手に政策を訴えるためのチラシや名刺などの紙媒体製作配布費。 ネット選挙に対応するための専門業者への委託費用。 各種会合に参加・出席するための会費。
数え上げればきりが無く、そして上記を満たすだけでもすでに数千万円がかかっています。 しかも、衆議院などはいつ解散になるか分かりませんから、何か月もランニングコストをかけながら維持しなくてはいけません。 「解散するかもしれない!」となれば、急遽大きい事務所を構え、急遽OA機器をリースで導入し、急遽レンタカーを長期で借上げ、急遽人を雇い、といった具合に初期費用で何百万とかけた後、それを維持するために毎月数百万単位のお金がかかっていきます。 今回のように「解散するかも?」の状態がダラダラと1年以上続くとたまったものではありません。忠臣蔵の赤穂浪士のように、途中で離脱する同士が出てくるのも当然です。
そして、政治に金がかかるというのはこれは地方議員も同じ。 ただ、地方議員の場合(首長や参議院もそうですが)、いつ選挙というのは予め分かっているだけ逆算的に資金計画が立てられますからまだ救われますが、それでもやはりお金はかかります。
では、何にかかっているのでしょう。
それをご説明する前に、まず私の場合の収入と手元に残るお金を簡単にお話ししておきます。皆さんに政治家の懐具合の実態を知っていただきたいので開けっぴろげに書きます。
まず、収入です。 「議員って高給取りでお金持ちになれていいよね!」とよく言われますが、これは半分あたって半分はずれてる、と言わせていただきましょう。
福岡市議会議員は月額報酬88万円。その他に賞与もありますので、年収は1400万円ほどになります。加えて、公務に出席すれば、その分の費用弁償が支払われます。 これが3000円×日数。年額20万円ほどでしょうか。 さらに、私は福岡市議会生活環境委員会の委員として福岡地区水道企業団議員でもありますので、こちらも報酬が発生します。年額50万円ほどです。 さらにさらに、福岡市議会議員の場合、会派所属議員には月額28万円の政務活動費が支払われます。
これだけ見ると、確かに高給取りです。それは否定しません。
では、私が活動に使えるお金はそのうちいくらでしょうか。 まず、議員としての各種報酬から税金、保険、年金、会派や党・所属議連への積み立てなどが天引きされ、加えて家庭生活のためのお金を差し引くと、純粋に私が政治活動のために使えるお金は月約15万円です。 そして、政務活動費。 これは、マスコミで取り上げられることも多くなりましたのでご存じの方も多いと思いますが、この政務活動費28万円はあくまで「議会活動、政策調査活動」にのみ使用が許されているれっきとした税金ですので、間違ってもこの28万円で私腹を肥やしたり、余らせて貯金に回したりすることなどできません。 それどころか、選挙を見据えた政治活動や所属政党の党勢拡大のための活動にも使用することができません。 当然と言えば当然です。税金ですから。個人の集票のためや特定の政党のために公金が使われていいわけがありません。そのため、福岡市議会の場合は、今噂の国会議員の文書通信費と違って使途の公開と領収証の提出、余った場合は返還することが義務付けられています。
余談ですが、私の「議会通信」に立憲民主党の宣伝や活動報告はおろか、ロゴの一つも無いのは、作成のための原資がこの政務活動費だからです。純粋に私の議会報告のみに特化しているためです。(政党活動を入れたい場合は政務活動費と個人のお金で按分します)
話を戻しますが、つまり、私の活動費は報酬から捻出する15万円(使途は自由)と政務活動費の28万円(使途は議会活動に関することのみ)の合わせて43万円ということになります。
で、この43万円が何に使われているのかというと、一般的な月の話で言いますと
・事務所家賃 70,200円
・事務所光熱費 約10,000円
・事務所電話代、通信費 約10,000円
・事務所車のガソリン代 約10,000円
・人件費 約50,000円
・コピー機リース料、コピー料 約10,000円
・HPメンテナンス 10,000円
・コピー用紙などの事務・文具費、祝電発送、切手代 約10,000円
・会合等参加費(夏祭りや敬老会、式典など) 50,000円
これでざっと23万円。 あまった20万円をプールしながら、約3ヵ月に一度
・議会報告作成費 300,000円
・郵送費 150,000円
・ポスティング 150,000円
さらに、余剰金で
・事務所車の保険・車検・税金
・質問作成のための書籍などの資料購入
・出張等の移動費や宿泊費(視察は除く)
などが出ていきます。
なので、「お金持ち」なんかには絶対なれません。
もちろん、これは義務的経費というよりは自分の活動のために使うお金ですから、一銭もかけたくなければかける必要はありません。事務所だって借りなきゃいいし、人だって雇わなきゃいいし、車なんて乗らなきゃいいし、会合なんて参加しなければいいし、議会報告なんて律儀に郵送しなければいいし、そもそも作らなければいいし、それは個人の勝手です。
そういう意味ではお金持ちになれる要素はあるかもしれませんが、それは「活動をしない」ということを意味しますので、それは有権者に対する冒涜です。政治家やってる意味がありません。
政治活動というのは真面目にやればやるほどお金がかかるようにできています。 一人でも多くの人にチラシを読んでもらいたいと思えば、その分印刷・配布費はかかります。 より多くの人と接触する機会を持ちたいと思えば、その分会合参加費はかかります。 充実した事務所運営をしたいと思えば、その分人件費はかかります。
だから、政治家はお金を欲しがるのです。だから、評判の悪い「資金集めパーティー」を行うのです。だから、後援会費として皆さんから献金を募るです。
昔はいざ知らず、今時「政治家なんだから、料亭でうまいもん食って、運転手付きの高級車に乗って、豪邸建てて、人が羨むような生活をしたい」などと考える政治家はいません。(と、信じたいし、私の知っている政治家には一人もいません)もし、人がうらやむ生活を送りたいという人がいれば、間違っても政治家を目指すのではなく、すぐに会社を立ち上げて新事業に取り組んでください。
政治家になってもお金持ちにはなれません。 しかし、政治家として仕事をしていくには現実問題お金はかかるのです。
何度も言いますが、真面目にやろうとすればするほど、かかります。 他の対立候補に後れを取らないように、ある意味でチキンレースのようなしのぎの削り方をしながら活動をしていきます。「あっちの議員は焼きそば3つ買っていったよ」と夏祭りで言われれば「あーそうですか」とはなかなか言えず、結局たこ焼きを5個買って帰るのです。こんなことだから貯蓄を切り崩し、借金してまで活動をするような羽目になるのです。
選挙制度や政治家の資質、有権者の意識、政党のサポート体制などメスを入れなければいけないところはいくらでもあるかもしれませんが、とにもかくにも、これでは有望な人材が政治家を目指してくれません。 確かに収入面だけで見れば高給取りですが、それは4年の期間限定。しかも、なったとしても自転車操業のような毎日と将来への不安を常に抱えた4年間です。重ねて言いますが、衆議院議員になればいつ解散になるか分かりませんから不安はもっと大きいはずです。 ここまで書いておいて何ですが、「公人たる政治家がお金の心配ばかりでみっともない!情けない!くだらない!」とお叱りを受けるかもしれませんが、これが切実な現実です。政治家だって人間です。家族だっています。お金のことは頭から離れません。
どこかの政治家のように、「私は大金持ちなのでお金の心配はいりません。だから不正は行いません。クリーンです!」と言い切れる人はいいですが、こんな人は圧倒的なレアケースです。そういう人はぜひお金の心配をせず国民・市民のためにバリバリ働いてほしいですが、まだお金に余裕がない若い人、非正規雇用者や一人親などが政治家(ましてや国会議員)など目指せる状況ではありません。実はそういう社会から孤立してしまいがちな人が一番政治に物申したいはずなのに。政治は金持っている人だけができる特殊な政界、となってしまってやないでしょうか。
ですので個人的には、少し乱暴かもしれませんが、政治活動にかかるお金は上限を決めた上で全額税金で賄ってもいいと思っています。 ただし、領収証による清算制、使途の報告と公開は義務付けとする。 その代わり、議員報酬は半額(議員報酬だけでは生活が成り立たないような一部の市町村議員は除いて)でもいいと思います。こんなこと言ったら家族に怒られますが。
選挙や政治活動にお金がかかる、だから、悪いことをしてでもお金を得ようとする、それが明るみになると政治不信が渦巻き、汚いイメージのある政治の世界を誰も目指さなくなり、最終的には政治の劣化が進む。
どこかでこの流れを断ち切らないと、政治の世界に明るい未来はありません。 そこはやはり、「お金のかかる政治活動」かなと個人的には思うわけです。
多少恨み節になってしまいましたが、皆さんはいかがでしょうか。