裏金問題が日本列島を席巻しています。
テレビもネットも裏金裏金裏金・・・
昨年から引き続き、とどまることを知りません。
昭和時代のような、ウン億円の贈収賄といった大味な疑獄事件は最近はぱったり無くなりましたが、今回の事件はかかわる人間が多いことと政権与党の汚職ということでまだまだ終息することはなさそうです。
私も色んな方から今回の事件についての感想を聞かれますし、どういったことなのかと解説を求められることも多くありますので、せっかくですからブログの方にまとめてみました。
どうせブログにまとめますので、よくいただいた質問を元にテーマに分けて書いてみたいと思います。

質問①「政治資金収支報告書の不記載ってどういうこと?」

まず、今回の事の発端は、一大学教授の検察への告発でした。
告発内容は、政治資金収支報告書への収入不記載。
実は、この「不記載」自体は全然珍しい話ではありません。
収入にしろ、支出にしろ、収支報告書に記載漏れがあって、慌てて修正申告するといった話はよくある話(本当はよくあってはいけないのですが)。
ただし、その不記載にも2つのパターンがあります。意図的なのか否かという2つのパターンです。
まず、意図的ではなく単純な事務的ミスで起きる場合です。
これは「単なる政治家事務所の怠慢」というのは置いといて、要するに「経理」という概念が政治家事務所には乏しいということに尽きます。
国会議員、地方議員問わず、大方の議員事務所には「経理担当」はいても「経理のプロフェッショナル」という人はいません。
大体の事務所が「昔、会社で経理やったことはあります。今は一線を退いていますけど」みたいな人を事務員として雇用し、経理を任せていたりします。地方議員であれば政治家自身が経理をやっているなんていうのも珍しくありません。
では、なぜ経理のプロフェッショナルを雇わないのかと言えば、第一にそんな人件費がない。第二にお金の辻褄を合わせるだけなのでプロフェッショナルを必要としていない、ということになります。
報道でも出ていますが、政治団体の収入は非課税ですので、税金の計算をする必要も税務申告をする必要もないわけでして、なので会計や経理を専門的に勉強した人じゃなくとも議員本人や秘書から出される領収証を集めて清算して帳簿につけて分類分けして残金と辻褄合わせをするといった細かい作業が苦にならず、数字の羅列に抵抗がない人であれば業務は十分に果たせます。
なので、故意ではなく単純なうっかりミスで不記載が発生することは何ら不思議ではありません。
で、「うっかり」とはまた違いますが、単純なミスということで言えば「公職選挙法を知らなかった」という場合でも不記載が起きることもあります。
先ほども言いましたが、これまで会社勤めをしていたような人が経理担当をしている場合が多いですから、そんな人が公職選挙法など知っているわけがありません。
計上すべきお金、しなくていいお金、政治家個人の収入なのか政治団体への収入なのか、それとも選挙事務所の収入なのか。このシステムを熟知していないと実際のお金と記載内容にズレが生じてしまうことに繋がり、その結果、帳簿上の辻褄が合わなずボロボロの収支報告書を提出するに至る、といったことが度々発生します。
これは余談ですが、よく、政治資金を不適切なものに使用したとして追及されることがあります。場合にもよるでしょうが、大方、議員や秘書が出した領収証の束にそういった政治活動費として計上するのに不適切な(例えば飲み屋代とか、趣味の品とか)ものが混じっていた場合、それをそのまま清算してしまうことで発生すると推察されます。帳簿に記載する際に一言「これは政治活動費として計上するのはいかがなものかと思います」と経理担当が言えば済む話ですが、きっとそれを言わずに(もしくは言えずに)出されるがままに清算して記載してしまうのでしょう。飲み食いしたお金はポケットマネーでやる、このルールを徹底していればこういったことは起きません。なので、こういう報道が出るたびに、私個人としては「なんでそんなバカな報告書を作るかねぇ」といった思いに駆られたりします。ただ、「支援者との飲食も大切な政治活動」と政治家本人がポリシーを持ってすれば、それは正々堂々計上すればいいだけの話ですけど。

さて、問題なのは「意図的な不記載」の場合です。
一連の疑惑も、この「意図的」な不記載がきっかけになっているようです。
では、意図的に計上しない、つまり不記載とするのはなぜか。それはシンプルに人様に見られては困るお金だからです。
誰からもらい何に使ったのか、これを人様に言えないお金。なので裏金なわけですが、それが見事に明るみに出ました。
今回の裏金作りのスキームは、派閥主催の政治資金パーティーのチケット販売を所属議員にノルマとして課し、所属議員がノルマを超えて売った分は派閥に入れずに販売した議員にキックバックする。その還元分についてはお金を還元した政党(派閥)側もお金をもらった政治団体側も収支報告書に記載せずに表に出さないカネとして、もらった議員が自由に使えるようにするというものですが、やり口としては非常に単純な手法です。「よくこんなことがこれまで表に出ずに来たものだ」と考えずにはいられないぐらい何の芸もない手法ですが、これがまかり通っていました。
私は自民党がどういうやり方でパーティー券を売っていたのか、その集金システムまでは知りませんが、一般的に考えて、買った側の企業や団体にもその内部の資金を使って買う以上、購入の記録を残さなくてはいけないはずですから、政党側だけが売ったことを必死に隠そうとしてもいずれ露呈するのではないかと思うのですが、企業・団体側がパーティー券を購入したという記録も消せる裏技でもあるのでしょうか。そこはよく分かりません。
秘書が法に抵触するのではないかと不安に思い記載した方がいいと訴え出たこともある、と報道に出ていましたが、私も秘書経験者としてはその気持ちはよく分かります。こんなお金気持ち悪くて仕方がない。もちろん、正義感によって訴え出たということもあるでしょう。いずれにしろそういった下々の者の気持ちを踏みにじって「裏金文化」が長年の慣習となっていたとすればより悪質です。
議員秘書の労働待遇の環境向上を自分事として考える私としては、政党上層部や派閥幹部がその点どういった認識でいたのか、ぜひお聞きしたいものです。
で、そんな議員たちは、なぜ「人に言えないお金」が必要なのか。それは、また後半部分で。

質問②「選挙管理委員会は何も言わないのか」

これもよく言われる話です。「政治資金収支報告書は毎年選挙管理委員会に提出しているのに、その際に選挙管理委員会からなにがしかの指摘はないのか」ということなんですが、結論から言えば、選挙管理委員会は何も言いません。
政治団体の収支というのは、「年度」ではなく「年」が会計単位となります。1月~12月まで。その間の政治団体の収支を報告書にまとめ、翌年の1月~3月末までの間に選挙管理委員会に提出することが法律で義務付けられています(地方議員の政治団体では県選管、国会議員の政治団体は5月)。
ここ数年はそれこそコロナ禍の影響でネット提出や郵送提出も一般化してきましたが、以前は事務所スタッフが県選管に出向き、対面でチェックしてもらっていました。
問題はこのチェックということになりますが、選管職員が行うチェックというものはチェックはチェックでもお金の使い道の違法合法をチェックするものではありません。地方議員の収支報告書の場合は原則として5万円以上の支出については領収証を添付する必要がありますが、その領収証がきちんと添えられているか(その領収証の真贋も確かめたりするようなことはありません)、収入支出の記載箇所に間違いはないか、数字の辻褄は合っているのか、要するに提出様式に適っているのかをチェックするのみです。ですので、間違っても選挙管理委員会が政治活動費として使い道が適当か不適当かそれを判断して訂正を強制するようなことはありません。ましてや裏金の存在を暴き違法性について言及するなんていうことはあり得ません。収支報告書提出時に銀座のクラブの高額領収証があったとしても、大量の漫画本購入の領収証があったとしても、その領収証を見て「これは政治活動とは認められません」と判断することはありません。税務署が「これは経費と認められません」というように選挙管理委員会がそんな判断を下すことはないのです。もちろん、「これ、記載して本当に大丈夫ですか?」と聞かれることはあるかもしれませんが、結局載せる載せないの判断はこちらがすることになります。
で、これも余談なのですが、誤解されている方が多いのでこの際言いますが、お金関係だけでなく日頃の政治活動や選挙活動などについても選挙管理委員会が「この時期にそのチラシは違反です」「このポスターは公選法違反です」「それは選挙違反です」と独自に判断して是正を促してくるようなことはありません(余ほど明確な選挙違反は別ですが)。
戦後日本の行政機関は、戦前の過ちを繰り返さないように市民の政治活動や選挙活動の自由を行政が制限しかねないような行為には敏感すぎるぐらい敏感になっています。「選挙管理委員会にあんなこと言われたから活動が委縮してしまった、その結果選挙で落選した」「公的な存在である行政が市民の政治活動の自由を侵した」などとは言われたくないので、政治活動を規制するような明確な判断はしてくれません。公選法が分からないからと真正面から「私チラシ作ったんですが、これは違法ですか?合法ですか?」と聞いたところで「最終的にはご自身で判断してください」としか言われません。なので、新人が公選法を理解せぬまま選挙に出て無意識のうちに選挙違反を犯し逮捕されるということはままあるのですが、そういった際に「選挙管理委員会が違反だと言わなかったから大丈夫だと思った」という言い分を述べる人もいるのですが、これはまったくのお門違いということになります。それが違法なのか合法なのか、それを判断するのは警察などの司法機関のみ。選挙管理委員会は読んで字のごとく「選挙を管理する」のが仕事ですから。
((地方自治法第186条)選挙管理委員会は、法律またはこれに基づく政令の定めるところにより、当該普通地方公共団体または国、他の地方公共団体その他公共団体の選挙に関する事務およびこれに関係ある事務を管理する。(公職選挙法第7条)選挙の取締に関する規定は,検察官,県公安委員会委員及び警察官が執行する)
ですので今後立候補を検討される方は選挙管理委員会に過度な期待を持つことはやめましょう。
余談が長くなりましたが、なので選挙管理委員会は何も指摘はしてくれません。

質問③「政治家はなんでそんなにお金ほしいのよ?」

連日の報道で色んな事実が明らかになっているようですが、私から見るとこの問題の本質は実にシンプルです。
「お金のかかる政治の是非」ということ。
私はもちろん非なわけですが、とにかく私は「お金のかかる政治」に警鐘を鳴らしていきたい。
金のかかる政治が立候補のハードルを上げ、政治家をやりたくない職業にしてしまっている一因だと思っていますので、何とか金のかからない政治をやりたい。
ここで一つお断りを入れさせてください。
「政治にはカネがかかる」という言葉、皆さんもよく聞くと思いますが、それとはちょっと言い回しが違う「政治活動には金がかかる」という言葉。何にも知らない人が聞けばほぼ同じ言葉に聞こえるかもしれませんが、私にとっては似て非なるものなのです。
広く一般的に言われ批判の対象となるのは「政治にはカネがかかる」の方。
これはまさに、表に出せないカネを使って買収、贈賄、寄付、接待、工作といった人間の欲と欲が交差する生々しい「セイジ」「マツリゴト」を繰り広げること。
一方で「政治活動には金がかかる」というのは、事務所運営のための必要経費、そして日々の活動の助けとなるチラシなどの印刷物やHPの維持管理、そして活動備品などの各種器材にはどうしてもお金がかかるということ。会社で言えばランニングコスト。こっちの方は仕方ありません。以前のブログにも書きましたが、政治活動とはまじめにやればやるほど金はかかる。そこは生活費を削ってでも何とか捻出するしかありません。
今回の一連の報道や国民の反応を見るに、多くの人はあの手この手でこさえてきた裏金は「カネのかかるセイジ」のために使われたと考えているのでしょう。

さて、それを踏まえて。
政治活動費というのは透明性が担保されてなくてはいけないとの趣旨で政治資金規正法が制定され、それに基づいて政治資金収支報告書を提出しなくてはいけないというのはこれまでご案内の通り。
なので、この政治資金収支報告書には収入源と支出先を記載しなくてはいけないわけですが(抜け穴はあるのですが)、では、政治団体にとっての収入とは何があるのでしょうか。まずはここから抑えておきます。
第一に「政党からの寄付」というものがあります。
政党にもよりますが、大体の政治家は政党から政治活動費をもらいます。では、政党はそんなお金どこから集めるのかと言えば、支援者さんからの党費であったり、政党機関紙の売り上げだったり、今話題の資金集めパーティーを開催したり、政党助成金であったりします。なので原資には皆さんからの税金が含まれています。
第二は「個人からの寄付」というものです。
有権者が個人的に応援している政治家に私財の中から個人的に寄付をする、こういったことがよくあります。我々政治家にとっては大変にありがたいものであり、まさに浄財。私の政治団体もそういう寄付をいただくことがありますが、本当にありがたく使わせていただいています。
また、同類とみなしていいと思いますが、後援会などの団体に入会いただいた際に「年会費」という形でお金をいただく政治団体も多くあります。大体数千円~1万円程度が相場かと思いますが、これも入会者が何百何千となれば大きな額になります。
因みに「企業献金」というのはまた別の話になりますので、そこは割愛します。
第三に「政治団体機関紙の売り上げや政治資金パーティーの売り上げ」です。会社でいえば営業利益ということになります。
例えば、私の政治団体「田中たかし後援会」が「田中たかし後援会通信」を一部200円で後援会の方に買ってもらえればそれは収入になりますし、田中たかし後援会主催で「田中たかしを応援する集い」を会費10,000円などでホテルで開催したとすればその売上金から必要経費を差っ引いた分が政治団体の収入となります。(この政治資金パーティーは政党でも政治家個人でも開催できます)
そして第四が自己資金です。
例えば無所属議員が「有権者に負担を求めない政治をする!」といったポリシーに則って活動をするとなれば、政治団体には何の収入もなくなりますから自分のお財布からお金を投入するしかありません。
加えていうと、我々のような政党所属議員でも地方議員であれば政党からのお金などは大した額ではありません。さらに地方議員は支援者さんからの寄付もそんなにいただけるわけではありませんし、よほど強固な支持基盤と支援団体でもない限り政治資金パーティイーなど開催できません。なので、地方議員の場合(国会議員も一部そうかもしれませんが)ほとんどの政治団体が収入源は「自己資金」となります。
で、本題からずれますが、この「自己資金」というのが政治家の感覚を鈍らせている側面もあると思っています。
先ほど書いた通り、政党からの寄付や支援者さんからの献金などがあるにせよ、それが屋台骨になるような政治団体はそんなに多くありません。政治活動費のすべてを政党からの寄付や個人献金で賄っていれば、「税金や人様の厚意で政治活動ができている」と身も引き締まるかもしれませんが、そのほとんどを「自己資金」で賄っているとすれば、「どうせ自分の金やし」と感覚がルーズになるのも分からなくはない。なので、ひどい人になると「どうせ自己資金でやっているんだから、政治団体にいちいちお金入れるのめんどくさい。経理もめんどくさいし。もう政治団体通さないで全てポケットマネーでやったことでいいや」ということで政治団体収支報告書を「収入0」「支出0」で提出するといったこともしばしばあります。

少し長くなりましたが、以上のようなものが政治団体の主な収入源となります。
そして、そこで得たお金で政治活動ができているわけです。
では、具体的に何に使われているのかといえば、例えば人件費、事務所家賃、事務所消耗品、交通費、機関紙発行、などなどまさに田中たかしが政治活動をする上で必要なものに使われるわけですが、先ほども書いた通り、私の政治活動費には少なからず政党助成金が入っていることになります。つまり、皆さんからの税金で活動の側面が支えられていますので、なので、使い方には細心の注意を払うことはもちろん、感謝の気持ちを持って活動しなくてはいけないわけです。ですので、私は明確に胸を張って「政治活動です」と断言できるものにしか政治団体からの支出はしませんし、フルオープンで公開ができます。
パーティー券販売のスキームで何千万円というお金を懐に入れた政治家もいたみたいですが、どんな活動にどれぐらい使われたのか、違法なものに使われたのか、合法的な使い方でも表に出すのが面倒だからそのままにしておいたのか、タンス預金ならぬ事務所預金にしていたのか、そんな大金が何に消えたのか。豪邸を建てたのか、高級車でも買ったのか、さらに増やそうと投機的なものに使われたのか全く分かりません。
しかし、今時、政治家が豪邸を建てたなんて話はあまりというか全く聞きません。多くの政治家は国会議員だろうと地方議員だろうと副業で儲けていない限り思った以上に質素な生活をしています。こんなこと言うと反発を買いそうですが、実際そうです。豪邸に住みながらスポーツカー乗り回してしょっちゅう海外旅行しているような議員がいたら逆に教えてほしいぐらいです。
では、なぜ政治家はお金をほしがるのか。あの裏金は何に使われたのか。先ほどの「セイジにはカネがかかる」を地で行くようにもしその裏金が有権者の買収などの違法な行為に使われていたとすればそれば絶対にあってはいけないことですし、法で裁かれなくてはいけません。同じ政治家としてはそういうことには使われていないと信じたいところです。

最近では、今になって「地方議員への陣中見舞い」だの「政策立案のための資料代」だの「私設秘書給与」だの何となく国民の理解が得られそうなものに使っていたとしているらしい(回りくどい言い方ですが)、という報道も出てきていますが、それであれば今挙げたようなものは政治活動の一環として十分認められるものですから、正面切って収支報告書に記載すればいいのであって、私としては何となく腑に落ちません。これもこの際言いますが、「陣中見舞い」というのは決して違法な使われ方ではありません。「陣中見舞いにかこつけて賄賂を贈る」のが問題なのであって選挙前に陣中見舞いとしてお金を渡すこと自体は違法ではありません。
で、話を戻しますが厄介なのはその政治活動費というのはどこからが政治活動費なのか、その線引きが非常に曖昧ということです。先ほどの飲食代なんかもそうですが、例えば「地元の有権者と親睦を深めるために地域の懇親会に参加した」これだけなら立派な政治活動でしょうが、これが飲食店で開催されたらそれは「遊び」に変わるのか。判断が難しいと思います。なので、政治家的にどういう発想になるかというと、「有権者の本音を知るために参加した会合であって個人的には政治活動の一環だと思っているけど、誤解を招くからポケットマネーで行ったことにしよう」となるわけですが、そうなると政治資金収支報告書に記載できない。けれどもこれを全てポケットマネーで出していたら大変です。なので、そのお金のために裏金が必要となる。何千万円といわれている裏金が全て飲食代に消えているなどとは私も思ってはいませんが、いわゆる「お付き合い」に一般の人とは比べ物にならないぐらいのお金が使われていることは間違いありません。
今回の裏金話を庇うつもりは全くないですが、政権与党の国会議員となればいわゆる「お付き合い」というのもそれはそれは膨大にあることでしょう。私が過去ついていた議員もほとんど毎晩のようにあっちこっちの会合に顔を出し、その都度お金を支払っていました。なので、裏金というのは市民感覚からすれば到底認められないものですが、それを全て詳らかにして政治資金収支報告書に記載しろ、というのは少し乱暴な気もしています。

ですので、あえて私はこの騒動をきっかけに有権者にも考えていただきたいと思います。
「政治家にお付き合いを求めすぎていませんか」と。
以前のブログにも書きましたが、投票判断の基準をあまりにも日頃のお付き合いに求めていませんか。
「飲み会に誘ったけど来なかった」「祭りの屋台で何にも買っていかなかった」「香典の額が少なかった」「二次会まで付き合わない」「来てもすぐ帰る」「あいつは金払いが悪い」そういう理由で「あの議員はダメだ」となっていませんか。
政策よりも人柄、という有権者の基準は理解できますし、人柄を知るなら飲み食いしながらが一番というのも分かります。ただ、できることならそれと同じぐらいの物差しで「この政治家はどういう主義主張なのか、議会でどういう活動をしているのか」そういったところも見ていただきたい。
そして、こちらも正されなくてはいけないと強く思いますが、今だに政治家にお金を求める有権者もいるということです。
「祭りや催し事への寄付」「集票や選挙運動の見返り」「相場から外れる料金(チラシの印刷代や事務所への納入品)」などなど。払う方が悪いのか、求める方が悪いのか、鳥と卵の議論になりますが旧態依然とした政治がまだまだ残っているのは間違いありません。私も秘書時代を通じてどれだけ言われてきたか。
法を逸脱して裏金を作っている事実は糾弾されるべきものですが、本当にクリーンな政治を実現するには国民も政治家にお金の期待をしないと、根本的に意識を変えなくてはいけないのだろうとも思っています。

今回の報道や世間の反応を見ると資金集めパーティーにも批判の矛先が向かっています。「軽食程度の料理に数万円の会費」というのは庶民感覚では理解できないところだとは思います。しかし、その一方でそのパーティー券販売による収入が我々政治家にとって貴重な活動資金であることは紛れもない事実です。立憲民主党でもパーティーはします。そして私もそのチケットを買っていただき、その売り上げを活動資金に充てています。「政党助成金があるだろ!」と言われればそれはその通りなのですが、政党助成金だけでは所属議員の活動資金を賄えないのは間違いありません。(だから政党助成金をもっとくれというつもりはさらさらありません)
因みに立憲民主党は「本気の政治改革実現に向けて 政治とカネの問題に対する立憲民主党の考え方」と題した政治改革案を公開しましたが、その中で「政治資金パーティーは全面禁止」を打ち出しています。が、私個人としては違和感を感じています。
日本では個人が政治団体に寄付をするという概念がアメリカなどに比べてまだまだ浸透していないのが現実です。日本人の気風としてどの政治家を応援しているとか、どの政治家に寄付をしたとか大っぴらにされたくないという方は大変多い。寄付をすることで名前が表に出ることを極端に嫌う有権者は実際にたくさんいます。ましてや客商売をしている方には特に顕著です。そういったことから日本では欧米のように個人的な寄付というのは文化として根付きづらいと言われています。
さらに、私個人としては日々の生活に精一杯という人も多い中、個人に寄付を求めるのは正直言ってハードルの高さを感じます。実態不明で一般の人には理解しづらいパーティーなんかは止めて、党員拡大に邁進し党費のさらなる上積みを目指すという考えがあるとも聞き及んでいますが、結局個人に負担を求めることに変わりはありません。企業・団体が購入するパーティー券と個人が登録する党費ではお金の「質」は確かに違いますが、立憲民主党所属の地方議員の多くは企業・団体ではなくて支援者個人にパーティー券を買ってもらっているはずです(労組の組織内候補は別ですが)。その貴重なパーティー券収入を一律全面禁止というのは少し拙速なのではないかと感じています。資金集めパーティーは市民感覚にそぐわない浮世離れした代物というのは私自身ものすごく理解していますし、毎年毎年ノルマを課されてヒーヒー言いながら売り捌いていますので常に「こんなの止めてしまえばいいのに」と思いながら活動しているのは事実ですが、しかし、その資金集めパーティーに代わる「何か」を考えなくては、ただ単に活動費が減るだけです。立憲民主党の県連や支部などいわゆる地方組織では職員を雇用できなくなるところも出てくるかもしれません。その点についてどういう議論がなされたのか今の時点では私は知りませんが、ぜひ教えていただきたいと思います。

今年も1月中に政治資金収支報告書を提出してきました。
一年間、結構な金額が使われているんだなとこの時期は毎年のように改めて実感しています。物価高などで市民生活がまだまだ苦しい中、「セイジとカネ」の問題に対して国民はこれまで以上にシビアに見ているはずです。
そのシビアな目から逃れようとして裏の方に裏の方に回っていくのではなく、その真逆で、透明性をこれまで以上に高めて、できる限り全て、きれいに公開するための制度整備が必要です。でなければ、根本的な政治不信の払拭にはならないでしょう。今国会では政治資金規正法の改正も検討されているようですが、その議論を注視していきたいと思っています。
カネがなければ戦えない、カネがなければ当選できない、カネがなければ政権をとれない。そんなセイジを続けていたら国は衰退の一途をたどるのみでしょう。
と、いうわけで私の政治団体の収支報告。この収支報告書は後日福岡県選挙管理委員会のHPで公開されますから、ぜひ見てみてください。

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