前回のブログで一般質問の解説①、「放課後児童クラブで昼食提供を」の解説をしました。
質問の底辺には、積極的に子どもや保護者の目線に立って寄り添った施策を展開しようという意気込みややる気を感じられない、当局に対する「怒り」がありましたが、今回解説する「おたふくかぜワクチン接種に助成を」も同じ思い、というか子どもの健康、一生にかかわる話なので「怒り」は倍増です。
先に結論を言ってしまいますが、要するに福岡市は助成をしようとはしません。
なぜしないのか。これに合理的な理由があれば納得もいきますので、それを質問で解きほぐしていくわけですが、結局最後の最後まで合理的な理由を見出すことはできませんでした。
私も助成をするに値する様々な理由を述べて質問をしたつもりですが、それも当局からは受け入れてもらえることはできませんでした。
いかんせん、これは医学の話ですので医学的素養のない私が一生懸命医学用語を駆使して質問をしても説得力は皆無ですから、客観的データを用いて理詰めの質問になるよう心掛けましたが、やはり当局の思い扉をこじ開けるには至りませんでした。
ですので、これを読んでいただく方にはぜひ、私の怒りの気持ちをお汲み取りいただきながら読んでいただきたいと思います。

では、まずはおたふくかぜについて改めて確認です。
【田中質問】
おたふくかぜとはどういう病気であるのか、症状や特徴についてお示しください。
【保健医療局保健予防課】
・おたふくかぜは、ムンプスウイルスの感染によって引き起こされる感染症。
・主な症状は、発熱と耳の下の唾液を分泌する耳下腺のはれ・痛みである。
・合併症として細菌感染とは関係せず髄膜が炎症を起こす無菌性髄膜炎や脳炎、難聴を引き起こすことがある。
・思春期以降になって初めて感染すると、男性は精巣炎、女性は卵巣炎などを引き起こすことがある。

ここらへんは皆さんよくご存じだと思います。私も子どもの頃かかりました。しかし、恥ずかしながら私はおたふくかぜが難聴を引き起こす可能性があるということを知りませんでした。朝の連続テレビ小説「半分、青い」の主人公の子がおたふくによる難聴だったらしいですが。
今回の質問では、ここに出てきた無菌性髄膜炎とその難聴がポイントになりますのでぜひ頭の中に入れながら読み進んでいただきたいと思います。
まず無菌性髄膜炎ですが、これは発熱、頭痛、嘔吐などの症状を呈する感染症です。お医者さんによれば命に係わるような病気ではないけど決して軽いものでもないそうです。
そして難聴。これは少々説明しますとおたふくかぜを別名ムンプスと言いますが、このムンプスにかかることによって引き起こされる難聴をムンプス難聴といいます。このムンプス難聴になると90%の確率で重症化するそうで、有効な治療法がないため一生治りません。しかも、おたふくかぜの症状の重さとは関係なく、軽症や不顕性感染(ふけんせいかんせん)、いわゆる症状がない場合でも難聴になる可能性はあるそうです。
本当に恥ずかしながら、今回の質問で初めてしりましたけど。
ということで、ではおたふくにかかるとどのぐらいの人がそんな重大な病を引き起こすのか、その発生頻度について確認しました。
【田中質問】
おたふくかぜに罹患したことによる合併症としての無菌性髄膜炎の発症頻度、これはどの程度であるのかお示しください。
【保健医療局保健予防課】
おたふくかぜワクチンの定期接種化検討に当たり、国立感染症研究所のが疾患の特性やワクチ ンの有効性・安全性等をまとめたファクトシートによると、おたふくかぜの自然感染による無菌性髄膜炎の発症頻度については、1〜10%とされている。
【田中質問】
ムンプス難聴についても、その発症頻度をお示しいただきたいと思います。
【保健医療局保健予防課】
おたふくかぜの自然感染によるムンプス難聴の発症頻度については、国立感染症研究所のファクトシートによると、0.01〜0.5%とされている。

この無菌性髄膜炎10%と難聴0.5%、これをしっかり覚えておいてください。
ではこのおたふくかぜに福岡市民はどの程度かかっているのか。それも質問の中で算定してみました。
【田中質問】
福岡市でのおたふくかぜの発生件数はどの程度のものか、また、流行状況など全国的な傾向について、お示しください。
【保健医療局保健予防課】
・おたふくかぜについては、5類感染症定点把握疾患であり、福岡市でも通年発生が見られるが、市内29箇所の小児科定点医療機関から報告による発生件数は、令和4年の1年間で1定点医療機関あたり2.03件となっている。
・全国的には4~5年ごとに流行が起こっており、全国3,138箇所の小児科定点医療機関から報告による発生件数は、過去10年で最も発生件数が多い平成28年は1年間で1定点医療機関あたり50.38件、直近の令和4年は1.57件となっている。

直近の令和4年、全国の統計では1小児科定点医療機関1.57件の発生。福岡市ではこれが2.03件。これだけ聞くと少なく感じますが、この数年はコロナということでこの程度で済んでいまして、コロナ以前はこれが20、30という数字だったそうです。これをもとに算出すると、福岡市内に小児科は約200ありますので、令和4年は定点観測数2.03件×小児科200件でおおよそ400人以上、これがコロナがない例年であれば定点観測数25件×小児科200件で約5,000人程度、流行する年には倍の約10,000人以上ということになります。しかも定点観測は小児科のみで行われていますので、子どもだけでこれだけの患者が出ている計算になります。
結構いるんだなというのが正直な感想です。
ということで、ここまではまずはおたふくかぜの基本についての確認でした。
では、次からはワクチンの基本について確認していきます。
【田中質問】
おたふくかぜワクチンの現状について、その歴史も紐解きながら解説をお願いいたします。
【保健医療局保健予防課】
・わが国では昭和56年より国産おたふくかぜワクチンが任意の予防接種として使用されている。
・平成元年には、麻しんワクチンの定期接種時におたふくかぜ・麻しん・風しんの混合ワクチンであるMMRワクチンを選択することが可能となったが、ワクチン接種後の無菌性髄膜炎等の問題があり、平成5年に国産MMRワクチンの定期接種は中止されている。
・その後、おたふくかぜの単味ワクチンが任意接種として利用されている。

なるほど、なので昭和51年生まれの私はワクチンを打った記憶はありません。
そして、今日の2つ目のポイントですが、ワクチンには「任意接種」「定期接種」の2種類があるということです。
そこで、これも基本的なところを確認です。
【田中質問】
定期接種と任意接種、何が違うのか具体的な説明を求めます。
【保健医療局保健予防課】
○定期接種
・感染症のまん延防止等を目的に、予防接種法に基づき、市町村が主体となって実施。
・小児を対象としている定期接種の費用はすべて公費で賄っている。
・万が一、接種後に健康被害が生じた場合は、予防接種法に基づき手当や年金等を給付することとなっている。
○任意接種
・個人の希望と責任により感染症にかかったり重症になるのを防ぐために受けるもの。
・費用は個人負担である。
・予防接種法に基づく健康被害救済給付の対象外となっている。
【田中質問】
ワクチンの定期接種と任意接種は「安全性」の視点からどのような違いがあるのかお示しください。
【保健医療局保健予防課】
・ワクチンについては、いずれも法律に基づく製造販売承認の過程において、安全性・有効性が確認されている。
・その後、広く接種を促進する定期接種の対象とするに当たっては、さらに科学的根拠となるデータを可能な限り収集し、客観的で信頼性の高い最新の科学的知見に基づき、ワクチンの適切な接種年齢や回数なども含めた有効性や年少児で接種した場合の副反応の発生頻度などの安全性、費用対効果に関する評価・検討を行い、決定されることとなっている。
【田中質問】
おたふくかぜワクチンが定期接種化されない理由をお示しください。
【保健医療局保健予防課】
おたふくかぜワクチンについては、現在、定期接種化を検討する国の審議会において議論されているが、現在ある副反応のデータでは不十分であり、さらなる調査研究が必要であることから定期接種化には至っていない。

だんだん話が難しくなってきました。
もみほぐして説明しますと、定期も任意も製造販売にあたり「安全性」は確認されているということです。じゃあ定期接種だの任意接種だのと国は何を議論しているのかというと、何歳で打つのが有効なのか、年齢で副反応に差があるのか、医療費がどれぐらい減るのかといった費用対効果、こういったことを議論しています。この点おたふくワクチンについては、その結論を出すまでのデータがまだまだ不十分なので、今のところ定期接種ではなく「打ちたい人は自己責任・自己負担で打ってね」という任意接種となっているということです。
では、おたふくかぜワクチンにはどんな副反応が出るのかといえば、主なものが「無菌性髄膜炎」。
少し説明しますと、おたふくかぜワクチンは生ワクチンですので、つまりは弱毒化した生きたウイルスを接種することで、実際にその病気にかかったような状態を作り出して抵抗力を獲得する仕組みとなっています。したがって副反応もおたふくかぜに自然感染した時と同じように無菌性髄膜炎を発症するということになるわけです。
では、どの程度の割合でおたふくワクチンの副反応が出るのでしょうか。
【田中質問】
おたふくかぜワクチンを接種することで副反応として症状が現れる無菌性髄膜炎、その発症頻度はどの程度なのかお示しください。
【保健医療局保健予防課】
おたふくかぜワクチン接種後の無菌性髄膜炎の発生頻度については、国立感染症研究所のファクトシートによると、0.1~0.01%とされている。

覚えているでしょうか、先ほどおたふくかぜに自然感染して発症する無菌性髄膜炎は最大で10%であると答弁がありました。そして今回はワクチンの副反応として無菌性髄膜炎を発症する確率を質問しましたが、これが最大で0.1%とのことです。つまり100分の一。
学術団体などはこういう副反応に関する数字も出しているのですが、国はこの数字を信頼に足るものとして考えるにはまだまだデータが不十分といっているわけですね。だから議論をしている。
参考までに

無菌性髄膜炎だけでなく、難聴や脳炎などの副反応についても数字が出ています。しかし、くどいようですけど国は議論している。
結果からいうと福岡市はこの国の議論を見守っているから「助成はしない」そうです。私にはこのあたりが全く理解できません。
ずばり、以下の質問です。
【田中質問】
おたふくかぜワクチンについて本市はどのような認識なのか、安全性も含めて市民に推奨するのかしないのか、ご所見をお伺いします。
【保健医療局保健予防課】
・おたふくかぜワクチンについては、国の審議会において、医師会や学術団体等による調査研究も含め、議論が行われているが、現在あるデータでは不十分であり、さらなる調査研究が必要とされている状況であるため、定期接種化には至っていない。
・本市としては、国の審議会の結論が出されるまでの間は任意接種として個人の希望と医師との相談により接種の判断を行っていただきたいと考えている。

実はこのおたふくかぜワクチンというものの安全性に疑問を持っているのは国も含めた行政だけでして、医学会や学術団体などは大方その安全性を認めています。
世界の潮流もそういう流れになっています。(日本のワクチンは国内生産のものですが)なので、日本とは比較にならないぐらいおたふくかぜにかかる人はいません。なので当然流行も起きない。つまり、意図的に抑え込めているというのが現状です。
【田中質問】
おたふくかぜワクチンに関して、学術団体や医師会などはどのような評価をされているのか、なにがしかの要望などは行っていないのか、お示しください。
【保健医療局保健予防課】
○日本小児科学会や日本耳鼻咽喉科学会などの学術団体が参加する予防接種推進協議会の評価
・副反応として問題となる無菌性髄膜炎の発生頻度は最近の調査では低下している。
・3歳未満の小児ではその発生頻度が低いことが報告されている。
○国に対しては予防接種推進専門協議会が平成30年5月に定期接種化に関する要望書を提出している。

福岡市としても、医学の専門家が「安全性を認めている、ということを認めている」ということになります。
ついでながらご紹介しますが、国立感染症研究所にも以下のような記載があります。
「おたふくかぜワクチンの効果と安全性は諸外国での成績などより明白であるが、わが国では残念ながら現在も定期接種の対象になっていない。その主な理由はMMR ワクチンによる無菌性髄膜炎の発生であった。ワクチン接種に伴う無菌性髄膜炎の発症は自然感染よりはるかにリスクが低い。何より、ワクチンの接種率が高く維持され流行がコントロールされれば、合併症の併発も予防され、その後疾患が排除されれば、はじめてワクチン接種を中止することも可能となる。わが国でもおたふくかぜワクチンの、できれば2回接種を早期に定期接種化することが、ぜひとも必要である。」
国立感染症研究所というところは厚生労働省の所管である施設等機関なんですけど、その国立感染症研究所ですらこう言っているわけです。
ならば、いつまで国はこの議論をしているのでしょうか。近々結論が出るなら、話は丸く収まります。わざわざ福岡市議会で議論する必要もなくなります。
【田中質問】
定期接種化するしないといった判断を国はいつするのか、見通しをお示しください。
【保健医療局保健予防課】
定期接種化については、国の審議会での議論を経て、予防接種法等の改正が必要であり、現時点において、その時期を示すことは困難であると考えている。

国がやっていることですので、福岡市としてその動向に目途を立てることはできません。話も聞いていません、ということらしいです。
にもかかわらず、福岡市は国の議論を見守り続けて、国が定期接種化することが一番望ましいいから任意接種のうちは助成はしません、とかたくなに言う。やっぱり理解できません。
その福岡市が見守り続ける国の議論も先行き全く不透明なのに。
じゃあということで、今度は他都市の事例の紹介です。安全性について私が言ったところで福岡市が「議員の言うとおりだから安全だ!」と言うわけないのは分かっていますから。
「他都市でもこんなにやってんだから、福岡市でもできますよね」と迫った方が議員としては説得力がありますし、聞いている方もきっと比較しやすい。
というわけで、
【田中質問】
政令指定都市の中でおたふくかぜワクチンに助成を行っている市はどこか、加えて助成の開始年をお示しください。
【保健医療局保健予防課】
・令和5年5月現在、20政令指定都市のうち4市がおたふくかぜワクチンの助成。
・名古屋市が平成22年度、仙台市が平成25年度、札幌市と神戸市が令和元年度から助成を開始している。

政令市だとすでに4市がやっている。なので私も荒唐無稽なことを行政に要求しているわけではないんです。
中でも名古屋市は平成22年からと最も早く助成を行っています。余談ですけど、この名古屋市というところは予防医療に積極的でして、昨年帯状疱疹のワクチン助成についての質問が福岡市議会で出た時も参考事例でやはり名古屋市を出していました。
ということで、最も医学的なデータが蓄積されている名古屋市を参考に進めますが、
【田中質問】
名古屋市のおたふくかぜワクチン接種率について、助成開始前とその後の数値はどのようになっているか、併せて、福岡市の現在の接種率についてもお示しください。
【保健医療局保健予防課】
・名古屋市の接種率については、助成開始前の接種数を把握していないことから、接種率を算出できないが、当該年度の1歳の人口に対する接種件数の割合により算出した、直近の令和3年度の接種率は88.5%とのことである。
・福岡市においては、公費負担を行っておらず、接種医療機関から市に接種状況の報告がなされないことから、接種数を把握しておらず、接種率を算出することは困難である。

一般的に任意接種のワクチンは接種数の統計は取ってないそうなんですね。だからこういう答弁が返ってくるわけですが、しかし、これも研究対象として数字を取っているところがあります。
実は日本耳鼻咽喉科学会が調査していまして、それによるとおたふくワクチン予防接種率は日本全体で30~40%と試算しています。
加えて、名古屋市にも確認したところ、やはり助成制度を始める前のワクチン接種率は統計を出してないらしいですが、制度開始初年度の接種率は24.3%だったそうです。それが、直近の接種率は88.5%とありましたので、名古屋市の場合、助成制度導入により接種率は3倍以上増えたということになります。
さらに、国立感染症研究所が名古屋市の助成導入後の状況を追跡調査し、論文を出していますが、それによりますと助成制度開始後7年間の定点あたりのおたふくかぜ患者報告数の平均は助成制度前と比較して3分の一に減少。副反応については、無菌性髄膜炎が10万回接種に対して0.7例の発症頻度。先ほどのパネルをもう一度見てほしいですが、その比率よりも低い数字が出ています。その他の難聴や脳炎といった重篤な副反応はないということです。したがって名古屋市の助成事業はおたふくかぜの疾病負担の軽減に貢献したと考えられると結論付けています。
先ほど福岡市でのおたふく患者数の推計をコロナではない通常の年は年間約5,000人程度と見積もりました。そうすると、おたふくに自然感染した場合の無菌性髄膜炎の発症率は1%~10%でしたので、50名~500名が無菌性髄膜炎になる。さらに難聴の発症率は0.01%~0.5%ですので、5,000人中0.5人~25人の難聴者が出ていることになります。流行時には、これが1人から50人となる計算です。
ということは、仮に福岡市が早い段階でワクチンへの助成を決断したとして、そしてその後も名古屋市と同じ割合でワクチン接種が進んでいたとすれば、もしかしたら難聴にかかる子も1/3に減らせていたかもと考えてしまうのは私だけではないでしょう。
因みに、他都市と同等の助成をした場合の予算規模は7500万円。福岡市の一般会計予算は約1兆円ですので、決して大きな金額ではありません。
さらに因みに、このテーマは4年前にも福岡市議会で取り上げられています。
【田中質問】
このおたふくかぜワクチンについては、公費助成を巡って4年前にもこの福岡市議会で議論されています。これまでの4年間、どのような検討がなされてきたのか、その内容をお示しください。
【保健医療局保健予防課】
本市においては、国の審議会における議論や新たな混合ワクチンの薬事承認の状況、副反応に関する調査研究の状況といった国の検討動向を注視するとともに、他都市の助成状況を把握し、慎重に検討を行っている。

放課後児童クラブの昼食提供の質問でも同じようなことを尋ねましたが、このワクチンについてもこの答弁です。
4年間、国の動向を注視したのみ。その4年の間にいくつもの自治体でおたふくワクチンへの助成がされてきているというのに。
結局、この議論は「おたふくかぜになって一生悩まされるような難聴にかかるリスク」と「おたふくかぜワクチンを接種して無菌性髄膜炎等の副反応を発症するリスク」この2つのリスクのせめぎあいのわけです。
私は、おたふくかぜになったことで一生治らない難聴となってしまうよりは、無菌性髄膜炎の副反応があるにせよワクチン接種で防ぐ方が公益に適っていると考えますので、市が助成するべきと、その強い思いで質問しました。しかし、本市としては、副反応の安全性に国のお墨付きが無い(医学会や学術団体が出している安全性に対する見解は知ってはいるが、それは国の公式な結論ではないから)ならそれは進められないと、その考え方の違いが浮き彫りになりました。非常に残念というほかありません。
定期接種化を求める動きに対して、なかなか判断するに至らない国の姿勢も問われるべきかもしれませんが、しかし、それはあくまで定期接種・任意接種の是非であって、安全性が確認されていることは医学会も本市も認めているわけです。にもかかわらず、国の審議を注視するという本市のスタンスはあまりにも受け身すぎます。
助成をしている政令市4市に公費助成導入のきっかけも確認しましたが、神戸市は「公衆衛生上有益なワクチンであり、子育て世帯の経済的負担軽減のため」と言い切りました。名古屋市は「市長が予防医療の推進に力を入れているから」と、そう回答されました。
要するに、こういった個別事業もトップが決断すれば話は一気に進むということです。首長の意思というのはそれだけ行政の政策決定過程において尊重されるわけです。ですので、本市も国の動向を注視するだけでなく、ぜひトップが積極果敢な決断をしていただきたい。今回はそのようにしっかり市長に訴えさせてもらいました。

今回の一般質問解説、皆さんどういう感想を持たれたでしょうか。私は「怒り」がこみ上げる結果となりましたが。
今年本市は子育て支援策を拡充し、その関連予算は過去最大規模となりました。しかし、まだまだ受け止めなくてはいけない市民からの要望があるということを自覚してもらいたいと切に思います。
どんどん少子化が進む中、子どもを産まない理由として常に上位に来るのは「経済的不安」です。ましてや今回の案件は子どもの健康に関するものです。福岡市は習い事補助として1万円を助成する事業を昨年から始めていますが、それよりもこういった子どもの健康や一生にかかわるものに積極的に支援をしてもらいたいものです。子育てにお金がかかる、というのはこういう一回数千円のワクチンを打たなくては子どもの健康を維持できないとかそういうことの積み重ねの結果なわけですから。その積み重ねが「経済的不安」となるわけです。行政はその不安を払拭させるために、打てる手はすべて打つ必要がある。
このコロナ禍で、意外ですが地方自治体は財政が思ったより落ち込まなかったことが判明しています。福岡市も税収は伸びました。ならば、こういったところにお金をかけるべきではないでしょうか。
もちろん、福岡市の場合お金の問題ではないですけど(福岡市も財政面を理由とはしていません)、税金の有効活用という視点からいうと子供の健康にかかわるワクチン助成をしないで習い事には1万円補助するというのはやはり順番が違う気が私はします。

今回、市民の方からいただいた声をもとに質問をしたと前に書きましたが、その声を福岡市がしっかり受け止めているとは思えませんでした。
少子化解消、子育て支援に一発逆転の奇策はありません。放課後児童クラブの話にしろ、おたふくワクチンにしろ事業としては派手さはないですけど、そういった地味な事業の地道な積み重ねが何よりも大切だと私は思っています。
これからも市民の声をもとに、そういった地道な施策の実現に向けて粘り強く行政に訴えていきたいと思っています。

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田中たかし、引き続き一生懸命仕事させていただきます!

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