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昨年12月の定例会。今年2度目となる会派を代表しての議案質疑をしました。
今回の議案質疑はとにかく小難しいお話です。内容は決して難解な話ではないのですが、とにかく専門用語があちこちに散りばめられているということで読み手の心が見事に折られます。
「議場でする質問はそこに居並ぶ議員や執行部に向けて行うだけでなく、その先にいる市民のことも意識して明快で分かりやすいものを」というのは先輩議員からの強い指導なのですが、今回は全く果たされていません。まずは私自身反省です。

私は議場で質問をする際は、その原稿を家族、支援者、スタッフなどに事前に渡し、議場での傍聴やネット視聴する際の参考にしてもらっているのですが、今回ばかりは本当に全ての人から「意味が分からん」と言われました。「原稿を読んでいてもわけ分からん」ですから、これはもう絶望的です。原稿など事前に渡されていない一般傍聴者やネット配信視聴者に至れば推して知るべしですね。
さらに言えばその議案質疑の内容をさらに丸くして説明したつもりの議会通信ですら、ゲラ刷りを妻に読んでもらいましたがこれまた「さっぱり分からん。何度読んでも分からん。」と言われる始末。
ということで、今回のブログはその議会報告に掲載した内容の解説をしたいと思います。どうかこれを読んでいる方、諦めずに付いてきてください。

その議会通信の解説を行う前に、まず、今回行った議案質疑の内容についてお話しします。
議案というものは、2月・6月・9月・12月に開かれる市議会定例会のたびに主に執行部(行政側)から議会に上程されるのですが、一つの定例会でざっと数十本提出されます。
一口で「議案」と言っても補正予算案、条例案、条例改正案、契約、指定管理者の指定、さらには執行部だけでなく議員自身も議案提出権はありますので、議員が出す議員提出条例案など様々なのですが、議案質疑はその数十本ある議案の中から特に執行部に説明を求めたいものをチョイスして質問します。

そして、今回私が(というか会派が)取り上げた議案は
①令和3年度福岡市一般会計補正予算案(第6号)の中から子育て世帯への臨時特別給付事業について
②福岡市開発行為の許可等に関する条例の一部を改正する条例案について
③議員提出議案第4号福岡市建築紛争の予防と調整に関する条例の一部を改正する条例案について
の3点。福岡市民クラブの政策調査会で議案を吟味し、市民の生活に直接影響がありそうなもの、関心が高そうなものを選び出し実際に議場で質問をする私が質問原稿にしました。
さて、薄々勘づいていらっしゃるとは思いますが、この3つのタイトルを読んだだけですでに投げ出したくなりますよね。
私のとある支援者さんはこの3本のタイトルを見ただけで「もう、よか」との4文字を吐き捨てて読むのを諦めてしまいました。
このブログを読んでくれている方、どうかここで諦めないでください。

では、一本ずつ説明します。
まず、①の子育て世帯への臨時特別給付事業についてです。
これは昨年末に散々世間を騒がせた例の10万円給付についてです。
これは、国の事業ということで予算は全額国から降りてきますが、実際の給付事務を行うのは国ではなく市町村となりますので、
「(10万円)×(福岡市在住の対象世帯)+事務費用=約123億円」が制度上、市の新たな歳入として追加されます。
なので、福岡市にとっては歳入が年度途中に増える「追加補正」ということで補正予算案ということになるわけですが、そこで、この123億円について質問をしました。
ただし、これは小難しいという話ではなく、私の勝手な都合ですが、国が給付方法をクーポンだ!現金だ!一括だ!と二転三転してくれたお陰で質問内容の変更を余儀なくされました。
岸田内閣が「10万円のうち5万円は現金で、5万円はクーポンで」と閣議決定しましたので、それを元に市は補正予算案を組んで議会に上程するわけですが、福岡市が議会に議案を正式に提出した12月9日からジェットコースターのようにその閣議決定内容が変わりました。となると議案(補正予算案)の内容自体が変わってしまいますのでその議案について質問する私の原稿も変更せざるを得ません。
当初は「来春のいつ頃給付される予定ですか?」「クーポンの印刷費はおいくらですか?」「電子マネーの活用は考えてないのですか?」といった質問を用意していたのですが、議案質疑を行う12月16日の直前に「現金一括給付!」となりましたので、こんなクーポンを前提にした質問など必要無くなります。必要無くなるだけでなく、現金一括給付を見据えた質問に差し替えなくてはいけません。というわけで、これ以上書くと愚痴になりますので書きませんが、大変な思いをしました。
重ねて言いますが私の勝手な都合ですが。
というわけで話を戻しますと、この件については決して内容は難しくありません。国から降りてきた123億円の事業費用を福岡市はどのように円滑に確実に市民に届けるのか、ただそれだけのお話です。

次に、②を飛ばして先に③をお話しします。
議員提出議案第4号福岡市建築紛争の予防と調整に関する条例の一部を改正する条例案について、です。
お気づきだと思いますが、「議員提出議案第4号」とあるようにこれは行政側が出したのではなく、議員が提出した議案です。共産党福岡市議団が独自に出されました。
一言で言いますと、「福岡市で多発するマンション建築紛争を解決するために、今ある条例をさらに強化しようよ」という条例改正案ということになります。
福岡市は依然として人口増加の傾向にありますが、そうなると当然マンション建築も増えます。ただでさえマンションが乱立する福岡市でさらにマンションを建築するわけですから中央区や早良区など住宅密集地では建築騒音や日照権、工事車両の通学路の安全確保、プライバシー保護など近隣住民との軋轢も起こります。
これは今に始まったことではなく、市としても平成12年に「福岡市建築紛争の予防と調整に関する条例」を定めマンション建築紛争を起こさない、起きても穏便公平に解決できるよう努めてきました。しかし、条例制定による効果は一程度あったものの、建築紛争がゼロになったわけでなく現在も頻発しているため条例改正の必要性を感じた共産党さんが提出に至ったというものでした。

ですので、この議案については私は執行部に質問するのではなく議案提出者である共産党さんに質問することになります。執行部へは現状の確認のみ。共産党さんに対して議案提出に至った背景や経緯、改正することで生まれる効果や市民の利益、条例改正内容の意図などについて質問しました。その具体的な内容についてはここでは割愛しますが、結論から言いますと我が会派としては「賛成しかねる」という結論に至りました。
今回の共産党さんが提出した内容は要するに、紛争当事者である建築業者と近隣住民に、建築にあたっての住民説明会やその説明会の議事録の提出などに今以上の責任を負ってもらうということになっています。
福岡市民クラブとしても所属議員がそれぞれの選挙区で個別にマンション紛争の相談を受けるなどマンション紛争に心を悩ます住人が多くいる事実は認識しています。また、現行条例ではなかなか解決に導けない案件が多いことも重く受け止めていますが、今回の共産党さんが提出した条例改正案では事業者の事務的負担や住人の心理的負担が大きいと判断しました。

さて、最後②の福岡市開発行為の許可等に関する条例の一部を改正する条例案について、です。
今回の私の議会通信ではこの項目を取り上げました。
そして、妻から「何度読んでも分からん」。
これではいけませんので、きちんと解説したいと思います。
まず、今回のこの条例改正案は一体何をしようとしているのでしょうか。ドンと二言で言いますと
「①市街化調整区域のうち災害危険の高い土地での開発行為はできません。②その代わり、開発できるエリアは拡大します」ということです。
何となく相反することを言っているような気になりますが、それぞれ説明します。

まず手始めに、「市街化調整区域」とは何でしょうか。
そもそも土地というものは、大きく「市街化区域」と「市街化調整区域」というものに分けられます。
市街化区域は街を活性化させるために活用する地域で、人が住みやすいようにインフラや住宅街、商業施設を計画的に建てていこうというエリアです。
その反対に、市街化調整区域はあまり市街化開発をせず、都市化を抑制しようというエリアです。これは、無秩序な市街化の拡大を防ぐために指定されています。
福岡市の場合、その面積は17,710ha。結構な広さです。因みに福岡市の市街化調整区域はどこになるのか、それは福岡市のHPに掲載されていますのでぜひそちらをご確認ください。

では、その市街化調整区域では何ができないのでしょうか。
市街化調整区域は乱開発抑止を目的として指定されますので、建築できる建物に大きな制限があります。仮に市街化調整区域内に土地を持っていても、好き放題に「賃貸マンション建てて住民増やそう!」「ショッピングモール誘致して来客者増やそう!」といったこと(これがいわゆる開発行為)ができません。農家住宅や駅舎、公民館などは許可不要で建築することができますが、保育所や学校、病院、食堂などを建てるには許可が必要ですし、既存住宅の建て替えですら一定の条件があります。

が、しかしです。
その市街化調整区域内にも古くから発展してきた既存集落があり、地区によっては多くの住宅や農業用施設等が建っていたります。そして、そういった住人が生活していく上で必要な日用品販売店舗や郵便局、診療所、自治会施設、などがあるわけでして、当然そういった仕事に従事する人々も住んでいたりするわけです。人は住んでいるのに、今以上に発展させようとするには色々と面倒なことがある。つまり、生活環境が劇的に良くなることは難しいということです。そうなると、当然人はその土地から離れていってしまいます。若い人など特に「駅近がいいよね」「お洒落なマンションに住みたいよね」とどんどん利便性の高い土地へ移住してしまいます。そうなると、古くからある既存集落はコミュニティの維持が困難になります。
要するに集落の先細りです。高齢化が加速し、いずれ人がいなくなるという物理的な問題だけでなく、その土地独自の祭りや伝統芸能の断絶、耕作放棄地の拡大、害獣の増加や治安の悪化など様々な問題が予想されます。これは、その土地にすむ人にとっては死活問題。

ということで、
市街化調整区域の根拠法である「都市計画法」では、市街化調整区域において特例的に開発などを認める区域として「条例区域」の指定を自治体に認めています。つまり、外部から新たな定住者を招き人口減少や高齢化で地域が疲弊しないように活性化策を講じることができるような措置を取っています。
福岡市の場合、条例区域に指定されるには「人口減少が著しい」「指定既存集落内にある(また新しい言葉が出てきましたが今回は本題ではないので捨て置きます)」など細かい条件がありますが、これら条件をクリアした上で該当地の町内会や自治会が地域での話し合いや意見聴取、市との協議等を経た後に正式に申請し指定されることとなります。福岡市では現時点で、東区志賀島、西区今津・北崎・今宿の合計9地区約125.6haを条例区域として指定されています。(ほぼほぼ西区で占められていたことが私の問題意識を大きくしました)
条例区域に指定されると賃貸住宅や賃貸共同住宅、商業店舗などが建築可能となりますので、先祖代々そこに住む人だけでなく「田舎ってスローライフでいいよね」という移住者を受け入れることが容易になるわけです。新住民が増えれば地域コミュニティの維持も可能です。
ですので、何とか地域活性化を進めたい地域住人はこの条例区域制度を利用してまちおこしなどをしてきました。

で、ここまでは過去から今までの話です。
今回の条例改正では、この「条例区域」の指定要件が変更されるということになります。
なぜでしょう。
それは、昨今の災害の激甚化・頻発が影響しています。ご存じの通り、ここ数年豪雨災害が毎年のように起こっており大きな問題となっています。土砂崩れや洪水で多くの人が命が奪われましたが、その被害を抑えるために国は先ほどの都市計画保を改正し、「条例区域」を定める際の基準を変更し、原則として災害リスクの高いエリアを除外することとしたのです。
では、具体的に除外されるエリアがどんなところかというと
①土砂災害警戒区域(イエローゾーン)
②土砂災害特別警戒区域(レッドゾーン)
③高潮浸水3.0m以上の区域
この3点に該当する場所が除外されます。
当たり前と言えば当たり前です。
市街化調整区域はインフラ整備がされていないところも多いため災害時にはリスクが高い箇所がいくらでもあります。家の裏にそそり立つ崖、潮の匂いをダイレクトに受けられる沿岸地、河川の真横など、災害という視点で見ると危険と言わざるを得ない箇所に家が建っていることは珍しくありません。そのようなところに新住民が新たに家を建てだしたら、いざという時に守れる命も守れなくなります。
因みに福岡市の場合、この除外されるエリアには現在約260戸の住宅があります。

つまり、単純化するとこういうことです。
■これまで市街化調整区域とはいえ条例区域に指定されていたから一程度の開発が許容されていたのに

■国が災害の激甚化を理由に都市計画法を改正して、その条例区域指定の条件から災害の危険が高い区域を除外するようにしてしまったもんだから

■これまで認められていた賃貸住宅の建築などの開発行為ができなくなる

■じゃあ、この先どうやってまちおこししていくのよ

ということになります。
そこで代替策(と、行政は言いませんでしたが私はそのように受け取りました)として出てきたのが、二言でドンと言った二つ目「開発できるエリアは拡大します」なのです。
語弊があるかもしれませんが、アメとムチ。「除外します」と「拡大します」の条例改正を同時に行うわけです。
これは、今回の法改正によって災害危険区域が条例区域から除外されるため、地域コミュニティの維持・活性化を図る観点から、条例区域の対象区域を周辺の区域まで拡大するというものです。
概ね既存集落から50mの範囲が拡大エリアとなります。
条例区域内の災害危険区域が除外されることを考慮し、逆に条例区域の対象になる範囲を拡大することで、これまで条例区域に隣接しながらも土地利用が図られていない空地などの活用が可能となるなど、地域の定住化促進に寄与する範囲が広がることがメリットとして考えられると当局も答弁しています。

ここで総じて言えるのは、「この条例改正はやむを得ない」ということです。
まず、国が法改正したことによる条例改正ですので市としてはどうしようもできません。しかも理由が災害危険区域に極力人が住むことを避けようとする措置ですので反対する話ではありません。
しかしながら、忘れてはいけないのは条例区域制度を活用して何とか地域コミュニティを活性化しようとしてきた当該地の住民のこれまでの努力が無駄にならないようにしなくてはいけないということです。
先ほども述べましたが、今回影響を受けるエリアは西区が殆どです。西区選出の議員として市街化調整区域内の住民がこれまで様々な知恵を絞って活性化に取り組んできた実情は知っているつもりです。
それが国の法改正だ市の条例改正だと言ってある日から突然、開発ができるのできないのとコロコロ変更されていてはたまったものではありません。
とにかく、住民が混乱しないようこの条例改正の周知を徹底すること、そして、地域活性化の取り組みをこれまで以上に市が後押しするよう、議案質疑の中で要望しました。

どうでしょうか、お分かりいただけたでしょうか。
原稿だけ読んでると、「市街化調整区域」「条例区域」「指定区域」「区域指定型制度」などなど、訳の分からない言葉ばっかり。
昔、学校の先生に「文章を書くときは漢字連続6文字以上は避けましょう」と言われたのに。
そもそも議案質疑というのは、「三問形式」といってダーッと質問してダーッと答弁が返ってくるというのを3回繰り返す方式であるため、「一問一答形式」のように一つひとつ順を追いながら質問を重ねていきながら論点や問題点を丁寧に噛み砕いていくということができない、さらには質問と執行部の答弁を合わせて1時間以内という時間的制約(要するに文字数の制約)がありますので、どうしてもこういう原稿になってしまいます。
そんな制約の中でも聞いてて分かりやすい質問を作ることが議員の力量というものなんでしょうが、まだまだ私にはそれが備わっていないようです。

大いなる反省とリベンジ精神をバネにして、また次の機会に向けて頭と腕を磨いていきたいと思います。

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