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9月3日から始まった9月定例会。10月8日までの長い会期となりました。
まだセミが鳴いていた頃、暑い暑いと言っている中で始まりましたが、もう今は、朝晩寒いよねーが決まり文句。
本当に、一カ月早く感じました。

なぜ9月定例会が長いのかと言えば、それは決算審査があるから。
令和2年度執行された予算が適正に使われたのか、市民の税金は有効に活用されたのか、議員として厳正に審査をしなくてはいけないからです。
よく「すでに使われたお金の話しても仕方なかろーもん」と、決算審査に疑問を投げかける人がいますが、決算審査というのは実は非常に重要です。
確かに、3月に行われる予算審査というのは構図として分かりやすく、その重要性は肌感覚として理解できると思います。
「来年度、市民から集めた○○円の予算をこんなことに使います。議員の皆さん、いかがでしょう」
自分たちの税金が何に使われるのか、その事業に効果はあるのか、議会という場で詳らかにして議論を重ねるのは大変有意義です。
その点、決算審査というのはすでに執行されたお金が適正に使われたかを審査しますので、「今さらどうしようもない」というのも分からなくはない話です。企業の決算であれば、その結果が企業の社会的評価や株価に直結しますが、行政には直接的にはそういうこともありません。
なので決算を軽視していいのか、といえば決してそうではありません。
なぜなら「決算審査の場で出た議員からの意見や提言を次年度予算に活かす」という役割があるから。ここが一番の肝です。
正直言って、膨大な決算資料とにらめっこして数字の辻褄を確認することにはあまり大きな意味がありません。そんなものは職員の手によってほぼほぼ完璧に数字は整えられています。なので、決算資料を見ながら電卓を叩くような場面はそうそうありません。
問題は、使われただけの効果、分かりやすく言えば費用対効果はどうだったのか、という点です。

例えば、福岡市のどの局よりも決算審査が分かりやすい(と私が勝手に思っている)消防局でお話します。
福岡市消防局は、令和2年度に3100万円をかけて博多消防署に救急隊を1隊増隊しました。
人口増に伴い年々増加している救急通報に対応するためです。
この点について、決算分科会で色々と意見が出されます。
「貴重な税金を使っての増隊だが、効果はどのように判断すればいいのか」
「増隊したことで、搬送時間は短縮されたのか」
「職員の負担は減ったのか」
「実は令和2年度はコロナの影響で救急通報件数は減っているが、無駄ではなかったのか」
などの質問を消防局にぶつけ、消防局はそれについて答弁していきます。
その答弁に合理性が認められれば、
「なら良かったね」となり、「とはいえ、まだ、人手不足が全て解消されたわけではないから、次年度は人員確保に努めるよう」という要望をすることとなります。
数字が間違ってないかなどではなく、この施策を検証し、今後に活かすよう要望するという流れが大切なわけです。

しかし、その一方で、決算審査の在り方を問題視する声もあります。
これは決算審査の必要性の有無を論じるものではなく、決算審査で出た議員からの指摘・意見・要望を執行部がどのように取り扱うか、という点についてです。
仮に決算審査で問題点が明らかになり、議会から指摘を受けても一旦執行された予算は覆ることはありません。
つまり、「指摘」はあくまで「指摘」であり、それを汲み取って次年度の予算に反映させるのもさせないのも、それは執行部の勝手です。
多くの地方議会では、この指摘・意見・要望を具体的に執行部に届ける手法が確立していません。
決算を「認定」するか「不認定」かの決定はしますが、議会の意思として決算審査を踏まえた「政策提言」をするような制度はありません。
福岡市議会では分科会などで個々の議員が思い思いに、「あーせい、こーせい」と要望をし、その意見・要望を集約した上で決算委員長が本会議最終日に委員会報告をしますが、「執行部は予算編成にあたってその指摘や要望を取り込まなければいけない」という決まりはないのです。
あくまで、「真摯に受け止める」だけなのです。(福岡市執行部が議会のいうことに耳を傾けず議会からの要望を何も受け付けない、というわけではありません)
この点を問題視する地方議会もあり、決算審査そのものを考え直そうという動きも出てきています。
例えば、決算審査と次年度予算審査を分離審査とせず一体的に審査する、議会で出た意見・要望を議会決議として執行部に勧告する、予算委員会・決算委員会を常任委員会として設置するなどです。
地方財政状況が厳しさを増す中、決算委員会の重みを議員が再認識していることは間違いなさそうです。

そして、このブログの本題なのですが、
では、その「認定」「不認定」について。
議会が決算を「不認定」としたらどうなるのでしょうか。
何かすごいことでも起きるのでしょうか。市民生活に多大な影響を与えるのでしょうか。政局にでも発展するのでしょうか。

予算審査などは、予算案を議会に認められなければ執行できませんので、行政サービスや事業がストップし、とんでもないことになります。(もちろん、極力市民生活に影響が出ないよう、再議や専決処分など幾重に措置を講じられる構えはありますが)
では、決算はというと、何も起きません。(極論かもしれませんが)
「議会は認めませんでした」となるだけです。

先ほどちょっと触れましたが、不認定だからといって予算が覆るわけではありません。一旦、建設業者や納品業者などに支払われたお金は回収されるわけではありません。そんなことしていたらどこの業者も行政の仕事なんてしてくれません。当然ですね。
しかし一応、地方自治法の規定により、「決算の不認定を踏まえて必要な措置を講じたときは、速やかにその内容を議会に報告するとともに公表すること」が市長に義務付けられています。
議会から不認定の決定を受けたならば、何がいけなかったか改善すべきところを議会から意見を聞き、その改善点にどう対応したのか、議会と市民に公表する、ということです。
なので、決算不認定でも何も起きません。
決算不認定になっても、市民生活への影響はおろか、執行部に及ぼす影響もそう大きくはないのです。
だからというわけではないでしょうが、実は、地方議会での「決算不認定」というのは意外に多くあります。
令和2年 千葉県東金市(令和元年度決算)
令和2年 茨城県鉾田市(令和元年度決算)
令和2年 東京都千代田区(令和元年度決算)
令和元年 宮崎県宮崎市(平成30年度決算)
などなど。
もちろん、まだまだあります。

「不認定」だからと言って何かとんでもないことが起きることはない、と先ほど書きましたが、それでも、執行部が提出してきた決算を議会が撥ねつけたのであれば、そこには当然議会としての説明責任が生じます。
また、執行部も政治的・道義的責任を問われる可能性があります。
やはり、決算委員会というのは執行部や議会にとって大きいものなのです。
「すでに使ってしまったお金の話しても仕方なかろーもん」で済む話ではありません。
決算審査の在り方については、まだまだ検討の余地があるかもしれませんが、その重みを一度再確認すれば、一議員として身も引き締まります。

今年の福岡市議会決算特別委員会はつつがなく「認定」で幕を閉じましたが、ここで出た要望が来年3月に出てくる次年度予算に果たして反映されているのか、今度の予算委員会では決算委員会の議事録もしっかり携えて臨まなくてはいけません。

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